神戸市北区の自宅でエステティックサロン TROIS DE BEAUTE (トロワ・ド・ボーテ)を営みながら、“ 深眠タッチセラピー® ” の代表講師として活躍中の、中村智子さんをご紹介します。
深眠タッチセラピー®というのは、日本ホスピタリティセラピスト協会が考案した新技術のヘッドリラクゼーション。頭や顔に優しいタッチで触れ、緩やかな圧をかけて自律神経を整えるのだという。
コロナ禍で仕事や学校、家庭などの環境が変わり、不眠を訴えたり眠りの浅い人が増加。そんな中、不安やストレスを解消できるリラクゼーションのひとつとして今、注目を浴びている。
深眠タッチセラピーを実際に体験させてもらった。
中村さんの手が、鎖骨の上にそっと添えられる。心地よい重み。呼吸のリズムをはかっているようだ。手が首の後ろ側へなめらかに移動する。盆の窪 (ぼんのくぼ) あたりにじんわりと指の圧。その指が肩に、こめかみに、頭頂部に。軽いタッチながら、的確に気持ちのいいツボを捉えてくれている・・。意識が遠のきそうになったところで終了。約20分の施術中、眠りに落ちる人は少なくないという。「眠ってもらえると、満足していただけたのかなぁって嬉しくなります」。
頭の中でガチッとはまっていたパズルがホロホロと崩れ、脳の芯がほぐれていくような感覚だった。中村さんの施術はとても優しく、心に寄り添ってくれるような安心感があった。
中村さんは今、深眠タッチセラピー®の代表講師という役割を担い、全国のインストラクターさん達と共に技術を広めている。受講生は、サロンメニューの一環にと学ぶエステティシャン、ネイリスト、ヨガインストラクター、介護や看護の専門職の方々など多岐に渡るという。「“大切な人を大切に” がコンセプトの技術なので、普段、身体に触れるお仕事ではない主婦の方達の受講もとても多いんです」。家族の要であるお母さん達がこの手技を身につけ、それぞれのご家族をリラックスさせてあげられたらどんなにいいだろう。
「私の娘も受験を控え不眠で悩んでいた時があったのですが、施術を何度か繰り返すうち頭痛が軽減されよく眠れるようになりました」。自分の手の中で、娘さんの表情がみるみる穏やかになっていくのを見るのは、施術者の中村さん自身にとっても幸せな時間だったという。
エステサロンを始めたのは友達を綺麗にしたかったから、深眠タッチセラピーは家族を癒したいから・・。 “ 誰かを喜ばせるのが自分の幸せ ” というこの思いは、いつ頃芽生えたのだろうか。
「そういえば子どもの頃おばあちゃんに、よく腕や脚を優しくさすってもらっていました」。柔らかな手の温もりがふと蘇ったと、取材中、中村さんがポロリと涙をこぼした。「 “ 愛のこもった祖母の手 ” が、私をこういう道に導いたのかもしれません」おぼろげな記憶を手繰り寄せた先にあった幸せな時間。それが、彼女のライフワークの原点だったようだ。
ソーシャルディスタンスが叫ばれ人との距離を常に意識して過ごす今。「そんな時だからこそ、人の手の温もりを感じることも大切だと思うんです」。
一家に1人セラピストがいたら、みんなの心が穏やかになる。ストレスのない人が増えたら、世界平和に一歩近付く気がしますね・・と、微笑みながら、でも彼女の眼差しは真剣だった。
『目の前にいる方に深く安らいでもらいたい』~この思いを共有できる人を増やしたいと、日々奮闘する中村さん。これからの時代、彼女の存在は益々必要とされていくに違いない。
“TROIS DE BEAUTE (トロワ・ド・ボーテ)”
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小原 由美
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