【コラム】児童文学者のつぶやき《岸本先生の人生いろいろ》~自らの”生き方”を信じる事~

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子どもを取り巻く問題は多種多様だ。子ども自身のこと。対子ども、対家庭、対教師、学校。大きく言えば教育行政、社会環境・・・。そしてそれらが複雑に絡み合ってのこと。ただ、問題を大きくし、抽象的なことを書くつもりはないので、学校関係の中で起こることを少し考えてみたい。例えば、「いじめ」または「仲間外れ」の問題。これは連日マスコミで扱われるほど、深刻な問題になっている。子どもがいじめまでとは言えないが仲間外れにされていると感じたとき、保護者としてあなたならどうするかだろうか。①黙って子どもを観察する。②相手の子どもまたは保護者に話を聞く。③教師に相談する。④校長または教育委員会に相談する。もちろん「いじめ」の重さにもよるだろう。ただ、端から見て、そんなことくらいでと思っても、子ども本人や保護者にとっては重いものかもしれない。

私の娘が小学校高学年の時にある女の子二人に仲間はずれにされた。ご近所なので何となくわかったが、娘に聞くと「え、普通だけど」というので、私は黙って見ることにした。1か月ほどして、今度はその3人のうちの一人が娘たちに無視されていると、親と一緒に教師に相談したらしい。娘に聞くと同じ答えが返ってきた。保護者も子どもも、人の感性というのはかなり個人差がある。それは学習の問題にしても、食(給食)の問題にしてもそうだ。学習に於いて、子どもが理解できていないと思ったことはあるだろう。その時、もっと宿題をとか、居残り勉強をとか、教え方が・・と、教師に矛先が向くことが多いと思うが、あなたならどうするだろうか。給食が食べられないという問題も頻繁に起こっている。「食育」も教育の中には入っているわけで、教師たちは好き嫌いをなくし、丈夫な体にと努力する。偏食というのはそれを作ってしまった保護者にかなりの責任があるのに、教師が無理に食べさせようとしているパワハラとして感じてしまう保護者も多い。

そして最悪の場合、生活や学習や食の問題を「匿名」という形で④の校長や教育委員会に訴えるという形がとられることも多々起こっている。あなたが校長ならそんな匿名の手紙に反応するだろうか。勿論個々の事情はあるだろうが、私なら絶対に反応しない。きちんと記名のあるものなら、子どもや保護者を交えて話し合うことができるはずだ。と、ここまで書いてきて「しまった」と思った。問題が深すぎて、20枚以上の論文になってしまう。おまけにこの時、「安倍元首相」が銃弾に倒れたニュースが飛び込んできた。ああ、それも書きたい。が、少しだけ続けてみる。
子どもを取り巻く問題に答えを出すのは難しいが、私は1つだけ信じていることがある。それは保護者自らの「生き方」を信じること。子どもと共に過ごした時間、普通に言えば、子どもの育て方を信じること。しいては子ども自身を信じること。そうするとどのパターンを選ぶのか、又はどれも選ばないのかの答えが出てくると思う。言い換えれば、子どもを信じられるような真摯な「生き方」を保護者がすることである。

すみません。安倍元首相のことも少しだけ。マスコミには「民主主義に対する挑戦だ」というような言葉が溢れた。思想的ではない犯行だからか、少し違和感を憶えた。暴力やテロはいけない。しかし国会を軽視した答弁を繰り返すことや、公文書を改竄することも民主主義への挑戦なのではないか。文書改竄の為に自死に及んだ赤木さんのことが頭に浮かび、「命」について考え、なかなか寝つけない夜となった。

~岸本進一先生PROFILE~

神戸市北区在住の児童文学者。著書「ノックアウトのその後で」(理論社)にて1996年日本児童文芸家協会新人賞受賞。その他、ひだまりいろのチョーク(理論社)・とうちゃんのオカリナ(汐文社)・はるになたらいく(くもん出版)など、著書多数。
小学校教諭として23年間勤務。故灰谷健次郎氏と長年親交があり、太陽の子保育園の理事長も勤めた。

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