着物地や古布を使っておせちなど目にも鮮やかな料理を再現する三浦美代子さん。生地の色や質感を存分に活かして作られた十段重ね“祝い重”が創刊700号記念「家庭画報大賞」を受賞した。
これが全部古布でできています。本物のお節だったらいいのに・・・
料理旅館に生まれ育ち美しい和食に慣れ親しんできた彼女は作品のリアリティーをとことん追求。盛り付けの細部に至るまで料理人顔負けの技を発揮する。「お煮しめの椎茸は泥大島で、蛸の吸盤は絞り染め、伊勢海老は花嫁の絢爛な帯…」イメージ通りの布を探し出すのが何より楽しい作業だと言う。
受賞作品は「実は孫のお食い初めのお祝いにと思い付き、約1ヶ月で仕上げました」。たくましく生きて!と願いを込めて重箱の装飾には陸前高田の力強い一本松のモチーフを施した。
洋服やバッグ、傘…、三浦さんは着物リメイクの達人でもある。型紙を使わず思いのままに布をカットしてへこ帯や大島紬をエレガントなドレスに蘇らせる。着物や帯地、小さなハギレまでも瞬く間に素敵なカタチに仕上げてしまう魔法の手。ふと見渡せば、長い廊下のカーテンが光沢のある正絹の反物だったり、椅子のカバーが白無垢の打ち掛けだったり…。家の中も彼女の独創的なアイディアや遊び心に溢れている。
「時をかけて紡がれた和の布に強く惹かれます」。布との対話を楽しみながら手際よく作業する三浦さん。彼女の創作の手は止まることがない。
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