【コラム】児童文学者のつぶやき《岸本先生の人生いろいろ》~ストック~

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㈱トムコ発行の情報紙【ラディッシュ】に2024年5月、掲載されたコラムです。

私はリスの気持ちが良くわかる。いや、私はリスかもしれない。何でもストックがなくなると、不安定な気持ちになる。特に焼酎のストックがないと、何をしていてもそのことが頭から離れない。だから家には大容量の焼酎が常に二・三本置いてある。心の安定には欠かせないのだ。以前私が長く夕食を担当していた頃、冷蔵庫の中はストックで満杯だった。しかし、何があるかはほぼ把握できていたので、食材を無駄にすることはなかった。私が腰椎を悪くしてから女房と交代したが、私とは正反対で、今、冷蔵庫の中は空っぽ。災害時の為の最低の備蓄をしているだけで、その他のストックは嫌う。買い物に行けるのだから、常に新しいものをと言う。

この二人の違いは、幼少期の生活経験、大袈裟に言えば、遺伝子的な差異に近いと思っている。私の母は三年生までしか学校に行けていない。芸子に売られ、見習い芸者時代は腹がへって泣いていたという。私達兄弟の実父に身受けをしてもらったが仕送りはなく、私たち二人を育てるため、仕方なく再婚した。しかし、その相手はレッドパージで職を追われ、また食うや食わずの生活だった。一方女房の家庭は、裕福ではないものの、父親は教師で、ごく普通の暮らしぶりだから食べることに心配はなかった。この私の幼少期の生活が本能的に備蓄癖を生む。だがこの違いは、時に生きていく為の大きな要素となる。災害や戦争、疫病等、人間の生死に関わる時、経済的弱者はいつも危機の最前線に立つ。神戸の震災でもそうだった。裕福な者は大したダメージも受けず、弱者はかなりの苦境に立たされた。能登の地震でもそうだろう。耐震構造にできなかった為、家に押しつぶされた人もいるはずだ。時にテレビでウクライナから日本に避難してきた人の話が流れる。その時私は必ず思う。経済的に余裕がある人だから避難できるのであって、余裕のない人はどんなに危険でも残らざるを得ないのだ。ガザ地区でも、貧しく、飢餓で亡くなる人もいるという。悲しい、を通り越している。韓国での2023年の出生率が0.72となり、世界最低水準であったという。特にソウルは0.55と、考えられないほど低い。韓国では極端に学歴社会化が進み、結婚、子育てにはかなりの経済的負担がかかってくる。日本でも同じだが、出生率低下の大きな要因の一つに経済格差があると考えられるのだ。

動植物などの生き物の世界で、弱者は滅び強者が残っていく現象は自然淘汰と言われている。しかし、今や人間の世界でもそれが起こりつつある。人間も動物。これは当然の進化論なのだろうか。それとも変え得る現象なのだろうか。   (児童文学者 岸本進一)

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Radish STYLE編集部

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